2014年11月16日日曜日

講習を受けて・・・

「まずは、目を閉じて話を聞いてみて下さい。」


「こんにちは。私は視覚障がい者協会会長の須藤です。本日は・・・」
「私は、今、うなずきながら話したのですが、わかりましたか?」

うなずいたのかも、どんな表情で話しているのかさえわからない・・・

「私がこっちの手に持っているこれなんですが・・・」
「会場のそっちにあるそれは何ですか?」

え?何を持ってるの?想像もつかない・・・
そっちってどっち?
会場に入った時、何かあったかな?

「今、手元に配られた資料はちゃんと自分の方向に向いてますか?」

目の前の資料さえ取るのに手間取る。
というか、目をつぶっていると上下なんてわからない!!

「これが、視覚障がい者の日常の世界です。
こういう中で、私たちは、ずっと暮らしているのです。
そして、皆さんの生活が視覚に頼って生活していることを感じて頂けましたか?
今日の講習では、私には皆さんの表情やうなずきはわかりませんので、
わかったら『わかった』とか『はい』とか言葉で表現してください。」



先日、栃木県タクシー協会主催で行った「障がい車等の応対に関する講習会」で、講師をして下さった栃木県視覚障がい者福祉協会の須藤会長が冒頭話された言葉です。

この講習会は、県内で起きた視覚障がい者の方の事故を受けて、タクシー事業者が二度とこのような悲劇が起こらないよう、視覚障がい者の方への接客応対を学ぶために開催されました。

講師をしてくださった視覚障がい者でもある会長さんと副会長のお話は、わかりやすく、私たちが当たり前と思って生活し、コミュニケーションをしていることが、視覚障がい者の方にとっては当たり前ではないこと、私たちが、いかに「視覚」に頼った生活やコミュニケーションをしているのかということを改めて感じさせてくれる内容でした。

通常、接客やコミュニケーションの講習に行くと、ボディランゲージや話す時の表情の重要性を言われますが、視覚障がい者の方にとっては、「言葉」によるコミュニケーションが重要になること、特に「あれ、これ、それ」と言った表現や、道を説明する際の「すぐそこ」など、抽象的な表現は、「視覚」があってこそわかるものだと、気付かされました。

そして、視覚障がい者の方に対し、どのように接客応対したら良いかも丁寧に説明頂きました。

きぬたくの営業する鬼怒川温泉は、温泉地ということもあり、視覚障がい者の方が多くいらっしゃいます。

だいぶ前になりますが、新しく入った乗務員さんが、視覚障がい者のお客様をお乗せした際、いつも降りられるところと数m違う場所に降ろしてしまい、「20分位迷ってしまって、すごく困った」とお客様から言われたことがありました。

それ以来、新入の乗務員さんには、新任教育の際に、それぞれのお客様の自宅と行かれる場所のどこで降ろしたら良いかを教育内容にいれて研修しています。

どのようなお客様にご乗車いただいても、安心・安全をお届けするために、もっともっと学んで、乗務員さんと一緒に考えていかなければならないなぁと改めて感じました!!


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